2019/12/25
森健児 - 東京都港区六本木
写真学校卒業後、大竹省二氏に師事し、六本木に森健児写真事務所を設立。週刊誌・月刊誌表紙、雑誌広告、企業のポスター・カタログなどの撮影を精力的に行ってきた。ポートレート写真をメインにする一方、商品写真・インテリア写真など多方面の撮影もこなし「社運を任せられる写真家」として多くの企業からの撮影依頼も受けてきた。慶応大学環境情報学部にて特別講義を行うなど後進の指導にも積極的。
写真学校卒業後、大竹省二氏に師事し、六本木に森健児写真事務所を設立。週刊誌・月刊誌表紙、雑誌広告、企業のポスター・カタログなどの撮影を精力的に行ってきた。ポートレート写真をメインにする一方、商品写真・インテリア写真など多方面の撮影もこなし「社運を任せられる写真家」として多くの企業からの撮影依頼も受けてきた。慶応大学環境情報学部にて特別講義を行うなど後進の指導にも積極的。

出版業界などで長いキャリアを積み重ねてきたベテランカメラマンの森健児さん。一方で取材時点のミツモアでの見積もり数1250件超&成約でもトップクラスです。

依頼者の要望に添ったプロフィール撮影や家族写真から、カメラマンとしての作家性を発揮した撮影まで、幅広い仕事をミツモアから得ているそうです。

ミツモアを活用する時のポイントについて、ベテランの視点からじっくりと語っていただきました。

プロのクオリティを追求する撮影もwebを介して入ってくる時代変化を実感しています

増えない出版系に頼りきるよりダメ元でミツモアにトライ

個人のプロフィール写真や家族写真から商品撮影等企業系の仕事まで幅広く手がけている

Q まず、ミツモアに登録されたきっかけから教えていただけますか?

- 2年ほど前、ミツモアから連絡をいただいたのがきっかけだったと思います。その時はミツモアのことは何も知らず、そんなサイトがあるのならとりあえず登録だけしてみようかな、という感じでした。正直、その時は営業ツールとしてあまり期待してはいなかったんです。

Q その後、ミツモアを活用され始めたのにはどのような理由が?

- 私自身はカメラマンとして主に週刊誌や月刊誌の表紙、雑誌広告といった出版系の仕事をメインにしてきました。しかし、昨今の出版業界はご存じのように不況で発行部数も減少してきています。例えば、私自身が表紙写真を撮影していた雑誌も廃刊してしまったりと、今後仕事の機会が増えるとはなかなか期待できないような状況です。
さらに、表紙写真を撮影してきたというキャリアも、むしろ業界の中では高いハードルのようになってしまってね。編集サイドに、経験のあるカメラマンはギャラが高いとか小さな仕事は頼みにくい、といった思い込みが生まれてきて仕事の機会がだんだん減っていくという危機感もありました。そこで従来の仕事は続けつつ、合間を縫って新しい分野で営業をしてみようと思い、ミツモアを活用してみることにしました。

コスパ重視の時代、大手企業もミツモアで依頼してくる

会社のパンフレット用の写真からホームページ用まで、さまざまな依頼が

Q ミツモアから入ってくる撮影依頼の案件を見てどんな印象を持たれましたか?

- 実に多種多様な依頼案件が毎日のように入ってきますがそれを見て痛感したのは、「世の中には実にいろいろな写真のニーズがあるんだな」ということ。ちょっと驚きでした。たとえ世の中から印刷物が減ったとしても、ホームページやSNSなど写真を必要とする機会は減っているどころかむしろ増えているのかもしれない、と気付かされました。

Q 現在、1250件超とミツモアでも見積もり数がトップクラスですが、どんな依頼が多いのでしょう?

- 個人の方からのポートレート写真の撮影依頼もあれば、企業系のお仕事もありますね。コスパ重視の時代ですから大手企業もミツモアを介して撮影のプロを探すケースが増えてきていると感じています。以前は広告代理店を介してカメラマンを依頼していたけれど、直接カメラマンを手配できれば代理店へ払うコストはカットできるということに企業の人たちも気付きつつあるのでしょうね。今後はより幅広い層がネットでプロを探すという流れになると思います。

品質、作風重視の依頼やクロスセル&アップセルも多数体験

安さだけではなく「クオリティの高い写真を撮って欲しい」というニーズも

Q ミツモアで成約した一つの仕事から、さらに別の仕事へと広がっていくようなケースもあるのですか?

- ええ、それはたくさんありますよ。例えば起業家の方から「プロフィール写真を撮って欲しい」という依頼があり撮影をさせていただいたのですが、写真を気に入っていただけたのか、続けて「会社のパンフレット用の写真も撮って欲しい」とご依頼がありました。
あるいは、化粧品関係の撮影依頼で見積もり10万円程で成約し、お仕事をしていくうちに結果として30万円程のボリュームの撮影になった、というケースもあります。商品撮影をきっかけにして、ホームページ全体の写真を入れ替えたいのでそちらの撮影も、とご依頼いただいたこともありましたね。

Q つまり、ミツモアが「入口」の役割を果たしている、ということですか。

- そうですね。嬉しいのは、私自身の作風を理解してくださったり気に入ってくださって、それが次の仕事へと広がっていくことです。従来のような出版関係の中で仕事をしていても、なかなかできない出会いだったり仕事の膨らみ方だなと感じています。

Q 見積もりを出す時、工夫していることは?

- これがなかなか難しいのですが、できるだけ具体的に数字を提示している依頼内容で、私の考えている相場とフィットする案件に対して見積もりを返すよう心がけています。依頼側から具体的な金額がなく「見積もりはプロにお任せします」というのが一番困りますね。撮影内容を事前に正確に把握できない状況で金額を提案するのはむずかしいし、いろいろ考えてご提案したとしても、結局は安い価格を提示したプロが成約、というケースも多いように感じます。つまりweb上ではどうしても「安い価格で撮影してくれるプロを探したい」というニーズが多いことは否定できない現実だと思います。

その一方で、価格の安さだけではなく、「クオリティの高い写真を撮ってもらいたい」というニーズを持つお客様もたしかにいます。そういう方にとっては、カメラマンの実績や作品の質が判断の決め手になるので、自己紹介欄で過去の作品や実績をきちんと見て判断いただけるようにしておくことが大切かなと思います。

仕事が回れば、見積もり型課金は広告費としてとても格安

プロフィール写真のクオリティで仕事の入ってくる量が左右される現実がある

Q 今や誰もがスマホで写真を撮れる時代ですが、一方で個人がクオリティの高い写真を撮ろうとしても簡単ではありませんよね。

- 仕上がりの写真に技術の差がはっきりと出ますからね。プロフィール写真のクオリティ一つで仕事の入ってくる量が左右される、という現実がありますし、そうしたことを自覚されている方はプロに依頼する傾向が強いのでしょう。

Q 見積もりを出す段階で課金されるというミツモアのシステムについてはどう思いますか?

- 順調に仕事が回っていけば広告費として考えるととても格安だと思います。ただし、なかなか仕事をとれない人にとっては、最初はハードルが高いのかもしれませんね。

Q 森さんはミツモア以外にもカメラマンを紹介するサイトに登録されていますか?

- ええ一応登録してはいますが、成約しないケースが多くて今はほとんど使っていません。webでの営業はミツモアがメインになっています。

若手にはチャンスに、ベテランには新しい出会いになる

プロのクオリティを追求する撮影依頼もwebを介して入ってくる時代に

Q これからミツモアに登録しようというカメラマンに対して何かアドバイスできることは?

- 若いカメラマンとキャリアのあるベテランとではミツモアの使い方も意味合いも違ってくるだろうと思います。まず、これからカメラマンとしてのキャリアを積もうという若い人なら、ミツモアを営業ツールとして使いこなすことは有効でしょう。

というのも昨今の出版業界を見ると、若いカメラマンが直接営業に行ってもなかなか相手にしてもらえないからです。昔は業界にも余力があり新人に仕事をふってチャンスを提供するということも多かったのですが。今はそうした機会があまりにも限定されています。ですのでweb上で積極的に営業をして少しでも撮影経験を重ねて、自分の作品を撮り実績を作ることをお勧めします。

Q 新人の方からなかなか成約できない、という悩みの声を聞くこともあります。

- たしかに最初のハードルは高いかもしれないけれど、一つ二つと仕事をとることで見積もり時にかかった手数料が回収できて仕事の取り方やコツもわかってくるのではないでしょうか。成約に行き着くまでにスルーされてしまうことが何度か続くと心理的にはたしかにキツイと思いますが、最初のハードルを乗り越えると回っていくという感触があります。

Q 一方、森さんのようなキャリアの長いベテランカメラマンにとってミツモアの活用方法とは?

- すでにキャリアのあるカメラマンはそれぞれ自分の仕事の仕方や人脈も確立しているので、ミツモアをお勧めするというよりも個々人の判断に委ねますが、一つ言えることは、過去の作品の実績がweb上では差別化のポイントになる、ということ。プロフィールやホームページ等で作品をしっかりとお見せできれば、それを手かがりに選んでくださる方も出てきます。

実際、ミツモアで成約した依頼者の方で「森さんのテイストや作家性を発揮し自由に撮って欲しい」というご依頼もありました。あるいは有名な建築家から、ミツモアを介してプロフィール写真のご依頼があり、その後「自分の建築物も撮ってほしい」ということをおっしゃってくださるケースも。つまり、カメラマンが作家性を発揮できる撮影や、プロのクオリティを追求する撮影の依頼もwebを介して入ってくる時代になりつつある、ということでしょう。そうした時代の変化に応じて、ミツモアのような新しい営業方法を模索してみるのも一つの手だと思います。

Q 最後に改めて森さんにとってミツモアの存在意義とは?

- まさしく「入口」を作る意味でありがたいツールだと思っています。一度プロフィール撮影をした方が、私の個展に来てくださって写真作品を購入してくださったりと、仕事を超えた思わぬご縁につながることもありますし、なかなか面白いですよ。

 

ミツモアを使うのは新しい扉を叩くようなもの、と森さん。これまでになかった出会いが扉の向こうに見つかっています、という嬉しいお話をいただきました。経験あるプロにも使いこなしていただける有効なツールとなるよう、今後ミツモアも進化していきます。